ウェイルズ公は継承権を放棄できない 
今回のウェイルズ公の結婚問題に関して、いくつかのblogで「チャールズは即位すべきではない。王位継承権を放棄すべきだ。」という意見が見られます。もし仮にウェイルズ公が継承権を放棄すれば、その長男であるHRH Prine William of Walesが継承権第一位となります。つまり、ウェイルズ公からすれば、その権を長男に譲るという形になるといっても良いでしょう。
このシナリオをあげている人の意見は、不倫関係にあった人と結婚するのはそれは結構だが、国王並びに英国国教会の首長としては相応しくない、というものが多いようです。私などはタブロイドの情報だけをあまり信じない方が良いとも思いますけども。
しかし、結論を言いますと、ウェイルズ公が先のシナリオをとる事は出来ません。なぜなら、英国においては英国王位の継承権を何人たりとも放棄できない、とされているので、そもそもウェイルズ公が王位継承権を放棄する事は出来ないのです。
これはそもそも英国の慣習法において:
君主政体においては、王位継承というものは選択の問題ではなく義務の問題である…
とされているからで、本人の願望・要望によって継承するか否かを選べるものではないのです。
英国の王位継承を定めている法令に
というわけで、ウェイルズ公が王位継承権を放棄するには、議会がこのAct of Settlementを破棄する議会法を成立させるなり、改正するなりする必要があります。したがって、ウェイルズ公の自由に出来るような事ではないのです。
このことは、昭和天皇が終戦後に退位なされなかった事と似ているかもしれません。よく「昭和天皇は退位するべきだった」という人がいますが、新旧皇室典範には天皇の退位後の称号・身分・地位またはその手続きについての言及がないために、天皇は退位できません。退位するには当然改正が必要なのですが、それをするのは立法府の仕事であって天皇自身ではありません。したがって、昭和天皇が退位なされなかったのはある意味で立憲君主の範たるものがあるかもしれません。
ちなみに即位後の事に関しては、英国王は、君主および議会の両方の合意無くしては退位できません。近代英国法ではそもそも退位自体を想定していなかったのですが、エドワード八世の時に、Act of Settlementのほか諸法令が整えられ、先の条件で退位できる事となりました。手続きとしては、国王が退位の意志を宣言し、議会がそれを許可するという形がとられます。しかしこれは正確且つ厳密に言うと「退位」ではないらしい。この辺はいずれ研究します。←この理屈、何となく理解しました。ややこしいので後の機会にじっくり書きますが、ある意味で「英国王は退位できません」と言えます。
書き忘れていましたので追加します。
上記でいっている継承権の放棄とは、当然自らの意志によって放棄することです。たとえば、ローマ・カトリックの信者やその信者と結婚したものは継承権を失いますが、これは「放棄」ではありません。まぁ、放棄したいがために改宗したり結婚したりする輩は居ないとも限りませんが。この継承権喪失の条件についてもいろいろ異論があったりするのが継承法のややこしさであり面白さだったりします…。
| 初版公開日 | 2005-02-12T00:01:00+09:00 |
| 最終更新日 | 2009-12-05T14:15:21+09:00 |
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気になること、というのはカミラさんにはお二人(?)お子さんがいらっしゃいますよね?そこで質問なのですが、彼らのtitleは結婚後どうなるのでしょうか?今はただMr.ですよね。何か与えられるのでしょうか?
突然の質問、不躾で申し訳ありませんが、すごく気になるのです・・・お許しを!
さて、パーカー・ボウルズ夫人の二人の連れ子の称号に関してですが、はっきり言って前例がないのでどうなるかはわかっていません。
しかし:
*結婚後、Lord Tom Parker Bowles, Lady Laura Parker Bowlesという称号を与えられる
*チャールズの即位後、Tomは一代貴族として爵位を与えられる
という可能性があります。(注意:あくまで可能性で決定事項ではありません。)
こういった称号については君主の権なので、ぶっちゃけてしまうと、どうにでもなるんですが、今の状況を考えると、上記の待遇が考えられる中での最高のものではないでしょうか。
まぁ、何となく、Lord、 Ladyの号も与えず、チャールズ即位まで待つ、という方が波風も立たない気もしますけども。
(むろんその場合は、Mr/Miss Parker Bowlesのままです。)
もちろん万が一前夫のパーカー・ボウルズ准将が何らかの爵位や騎士などに叙されれば、子供らの称号に関してもそちらとの兼ね合いもありますが…。
親戚の者が某国、某大学で学科長をしていた折、プリンスチャールズが視察に来られ、彼が大学を案内しました。その年の年末、プリンスからクリスマスカードが届き(プリンスのオフィスから・・・ですが当然・・・)、彼は感無量だったそうです。ただその視察はダイアナ妃同伴ではなかったので、小学生だった私は「プリンセスダイアナじゃないのかー。じゃあ別に便乗しなくてよかったわ」と、生意気に言った覚えがあります。今、思えば一緒にお写真を・・・。ミーハーですね、失礼しました。
結構興奮するものです。
私だって、ロンドン・アイにヨーク公が乗りに来たときには人混みに混じって見てましたし。
そういえば、私の留学して居た大学は学長がウェイルズ公なので、ご訪問なさった写真があったりしました。ほかホールにはエリザベス女王のPatentかWarrantか何かが飾ってました。
細かいですが、昭和天皇の退位については多少厳密さを欠くように思います。
日本国憲法施行後では皇室典範は一法律に過ぎませんから正しいですが、終戦直後、大日本帝国憲法体制の皇室典範は、別記事でお書きになられた通り憲法と同格の宮務法で皇室大権に属する事柄でしたから、枢密院の賛成があれば・・・・・・
あれ、もしかして立法府には枢密院を含めてのことでしょうか。
いずれにせよ、GHQ支配下では、昭和天皇が皇室典範を増補なさろうとしても実際にはできなかったかもしれませんし、そもそも、天皇位に関することは単なる皇室事項でなく憲法一章の改正が必要、つまり立法府の議決が必要という気もします。
>昭和天皇の退位については多少厳密さを欠くように思います。
この部分に関して多少厳密さが欠いているのは、もちろんこの部分が記事の主要趣旨ではない「本文外」の書き込みであるからです:D
(この部分の記事が囲まれている部分であることにご注目ください。)
この部分が立憲君主のアプローチにおける相似性として言及されていることをご勘案ください。
枢密院が(立法府ととらえるかどうかは別にして)皇室典範を増補するということは、即ち天皇本人の仕事ではない作業(枢密院での決定)を挟んでいるととらえます(天皇の「諮問」があれど「諮問機関」が「回答」するという手続きは必要であり、即ち増補ができねば退位できず、したがってそれは「天皇の仕事ではない」ととらえています)。
この天皇の退位の可能性については、多々議論のあるところであり、私自身まだまだ勉強の足らざるところでありますので、引き続きご教示いただければ幸いです。
dzlfox 謹白