モナコのアルベール二世に隠し子続々 anchor.png

先日即位なされたモナコのアルベール二世といえばそのプレイボーイぶりで有名ですが、英タブロイド紙が早速その庶出子と称する子供とその親をすっぱ抜いています。

4月中頃にMail on Sundayが報じたのは、ジャズミン・グレース・グリマルディ«Jazmin Grace Grimaldi»という13歳のアメリカの女の子。この子はタマラ・ロトロ«Tamara Rotolo»という元ウェイトレスが1991年にモナコに旅行中、当時のアルベール公子と関係を持ち、妊娠して、1992年に生まれたとされる。殿下も関係があったことは認めている模様。もっとも、当時はTamaraは夫と別居中で、法的には婚姻関係が続いていた時期ではある。しかし、その元夫(今は離婚済み)も、この子の父親は殿下に違いない、と主張している。1993年にDNAサンプル提出を求める訴訟を公子に対して起こしたらしいが、カリフォルニア法にはその権限がないとして棄却されているらしい。今回アルベール殿下の即位に際して、改めて正当な公位継承権を求めている。

さらに、5月3日のDaily Mailによると、元客室乗務員ニコル・コスト«Nicole Coste»女史がその息子アレクサンドル«Alexandre»がアルベール二世の息子であるという。Nicoleは1997年一月、パリ-ニース間のフライトで勤務しているときに、当時の公子と出会ったという。2003年にAlexandreは誕生した。Nicole主張では、公子の弁護士がDNAテストを行い、父親であることが確かめられたのだという。さらに、公子はその後もたびたび息子の元を訪れたものの、レーニエ三世が存命の間、その男子の存在を父に知らせてはならない、としたという。

この話は、私がもたもたしている間に、フランス誌の記事を元に日本でも配信されましたね。

さて、この両記事に共通することは、記事の中で「この庶出子が皇位継承権を持つ(可能性がある)」とされていることです。それについて、レーニエ三世の母君であるシャルロット公女«Princess Charlotte»のことを「先例」としています。シャルロット公女は、ルイ二世«Louis II»が西アフリカ出身の洗濯女マリー・ジュリエット・ルーヴェ«Marie Juliette Louvet»との間になした庶出子で、ルイ二世に継嗣がいなかったために養子とされ、継嗣とされました。シャルロット公女は父公が存命中の1944年に継承権を息子のレーニエに譲って放棄し、これによってレーニエが1949年に公位を継ぐこととなったのです。

さて、この先例によって、アルベール二世がアレクサンドルなりジャズミンなりを養子とし、継嗣とする、という憶測がなされているわけです。しかし、問題があります。別にアルベール二世には庶出子に公位を継がせなければならない義務も理由もないのです。まぁ、本当に父親だとすれば、それなりの待遇をすべきなのは人情でしょうけども。

もっと、大きな問題は、現在のモナコ法では、養子は公位継承権を有しないのです。シャルロット公女の件は、1882年の家法によるもので、この法では養子にも継承権が与えられるようになっていました。しかし、2002年憲法改正にともなう継承法の改正で、養子には継承権が与えられないようになりました。正確に言うと、養子の継承権の言及が憲法にはない。したがって、この庶出子が仮に養子となっても、現在の法の下では継承順位に影響を与えません。

もっとも一つ道があって、それはアルベール二世がその庶出子の母親(今回ではTamaraかNicole)と結婚して準正することです。モナコの民法では、後の結婚による庶出子の準正を認めています。もっとも、これが2002憲法のいう「直系嫡出子」に当てはまるのか、または微妙に別物となるのか。一般的には前者のような理解なのですが、法的にはもう少し煮詰めが必要なようです。しかし、まぁ、これを入れれば、可能性がないわけでもない、ぐらいにはなります。

モナコの公位継承に関しては、『サウスアイランド公国ブログ自治領』中の記事「モナコの公位継承」のコメント欄で少し簡単且つ乱暴にまとめていますので、ご参考に。いずれここでも書くつもりではおりますが。

初版公開日2005-05-07T23:38:52+09:00
最終更新日2009-12-05T14:15:20+09:00

Tag: 欧州君主家事情 欧州大陸称号 相続法 モナコ公家


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AMU (2005/05/08 21:51:01)

養子による嫡出子化

以前からシャルロット公女が庶子でありながら
モナコの継承権者となったことは不思議に思っていたのですが
シャルロット公女は父公の庶子の資格ではなく
養子の資格において継承権を認められたのですね。
日本でも、非嫡出子を養子にすることで嫡出子化することが
ありますが欧州にも似たようなことがあるものなのですね。
(もっとも、最近親の女系継承者がドイツ系という問題も
背景にあった特殊例のようですが)

しかし、代替わりして続々とこういう話が出てくるというのも
モナコらしいと言いますか(^^:。

dzlfox (2005/05/08 22:16:13)

こんばんは。
おそらく、フランスとの関係もあったのでしょう。
条約改正と同時に規定が無くなったのも(まだフランス議会は批准してないけど)、フランスに気を遣わなくても良くなったからではないかと。

まぁ、一時期アルベール殿下ゲイ説もあったのですけど、少なくとも女性がオーケーだという証明にはなりそうです(苦笑)


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