ミセス・ミルドレイク伯爵夫人 - 称号から読む『エマ』(1) 
- エマ (4)
- by 森 薫
- pub. by エンターブレイン
- pub. date: 2004/05/26
tamaikoponさんとbikkinさんに勧められたので、且つ公爵殿下のサイトにもあったので、ミラノ展にいったときに難波のインターネット/漫画カフェにいって読んできました。四巻の途中まで。結構面白いですね。作者がメイド好きなのが伝わってきました。
さて、このブログはそもそも「ニュース等の報道や映画や文学といった諸作品の称号の扱い方をみる」という側面もあるブログです。というわけで、称号に着目してみていったのですが、三巻までは特にチェックを入れる所がなかったのですが(ぱーっと読んだ限り)、四巻にありましたのでチェックを入れます。
メモしてないので正確なページはわかりませんが、ミルドレイク伯爵夫人モニカという人が出てくるのですが、この人のことをミセス・ミルドレイク伯爵夫人
とよんでいます。
これはいけません、明らかに間違いです。設定資料を読んでいないので、ミルドレイク伯爵がEarl of MildrakeなのかEarl Mildrakeなのかわかりませんが、とりあえずEarl Mildrakeであると仮定して考えます。
となればミルドレイク伯爵夫人はThe Countess Mildrakeとなりますが、これまでもいっている通り'The'はThe Right Honourable'という敬称の略である上に、Countess自体がMrsを上書きしているので、'Mrs Countess Mildrake'というようにはなりません。したがって、「ミセス・ミルドレイク伯爵夫人」ともなりません。森女史としては既婚女性である伯爵夫人に対して敬意を込めた呼びかけをさせるためにこの様に書いたのでしょうが、明らかに間違いというべきです。
私は用語や概念の「翻訳」の範疇に収まりそうなことは気にしないようにしているのですが、これは少しそこには収まりきらない違いかと。
さて、今度は「ミルドレイク伯爵夫人」という称号自体について考えてみましょう。これは翻訳過程で吸収されうるものだとも言えますが。
たとえば、伯爵夫人が家に入ってきたときミセス・ミルドレイク伯爵夫人
と皆が呼んだ事がおかしい、と既に述べました。では「ミルドレイク伯爵夫人」と呼ぶのはどうでしょうか、これも英語的にはおかしいのです。
まず、まぁ、普通執事が名刺を受け取ったとしたならその名詞には'The Countess Mildrake'と書いているでしょう。まぁ、今回は取り次ぎ無しに入ってきたっぽいですが。しかし、取り次ぎ無しにせよ、取り次ぎありにせよ、執事は職務として部屋にいる主(及びそれに類する人)に紹介せねばなりません。しかし、この場合'The Countess Mildrake'(ミルドレイク伯爵夫人)とは紹介しません。
何故でしょうか。英国のマナーでは先ず書き言葉と話し言葉とを明確に区別します。'The Countess Mildrake'のように爵位をしっかり書くのは結構フォーマルで書き言葉的なのです。
書き言葉なので名刺に書いてあるのは当然なのですが、これを読んだ執事は当然口に出すのですから、話し言葉のマナーに沿わなければないません。ここで書き言葉のマナーに沿うと、下手をすると慇懃無礼となります。
つまり、執事が紹介するときは'Lady Mildrake'と紹介することになります。紹介したあと執事をはじめ使用人は彼女のことを'Your Ladyship'と呼ぶことになります。
ウィリアムを始めとした人らは彼女を'Lady Mildrake'と呼び、以降は主に'My Lady'と呼ぶことになります。当然彼女の方が序列が上です。もっとも親しい仲ならばこの限りではありません。
しかし、このMy Ladyなんかは訳しにくい上に、漫画にあわない表現かもしれないということもありましょうから、その辺は許容しうる範囲だとも思います。
このLady Mildrakeについての話はもう少し続きます。
| 初版公開日 | 2005-10-05T00:10:00+09:00 |
| 最終更新日 | 2009-12-05T14:15:20+09:00 |
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コメント一覧
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実は4巻目までもいろいろと突込みどころ満載なので、
再読するときにその辺のチェックされると楽しいですヨ。
(<内容的な突っ込み&文化史的突っ込み)
まぁ、でもマンガですからね・・・。
多少は素っ頓狂な設定・行動・史実無視もありかもしれ
ませんが。
やはり、「ミセス・ミルドレイク伯爵夫人」はおかしいですよね!MrsとThe Right Honourableがくっつくことはあっても、そりゃないよーでしょう。Mrs&爵位名
そういえば、今秋の女子服の流行は「ヴィクトリアン」なので
すが、これまたひどいんですよ~。
「ヴィクトリアン調」(・・・)とか、「中世ヴィクトリアン風」(!)
とか、説明文にあったりします・・・。
日本のファッション界の人は学校に行ってないので、この
れべるなんでしょうね。(決め付け)やれやれ。
船戸明里の『アンダー・ザ・ローズ』も暗くてじめじめしていて
陰湿極まりないのでぜひどーぞ!(変な勧め方・・・)
作者が女性だからかもしれませんが、人物の体つきに無理がなく(笑)結構読みやすいです。
(まぁ、かき分けはできてませんが)
というわけで、殿下のご感想も聞きたいです。
まぁ、文化的つっこみはきりがないので・・・bikkin様にお任せします(笑)
>ヴィクトリアン調
これは一応「朝でしょ」の方へつっこみなのでしょうか・・・?
私としては継承氏を名詞形に変えずにくっつける方に違和感がありますので・・・どうしてもそっちの方に目が・・・(苦笑)
Victorian ヴィクトリア朝
Georgian ジョージ朝
の用に表記する方がよろしいように思います。
まぁ、某ガイドブックにもこう書いている、ということは以前つっこんだ気がします。
み、ミスです・・・!<調(誤)→朝
いや、「ヴィクトリアン調」は言葉の文脈からすると正しいんだから、
誤りというのは誤りですね?!アレ?←混乱
えーと、ゴシック調、ロココ調というような、使い方だと思えば
合っていますね・・・。「ヴィクトリアン調(=様式)」は。
私が書きたかったのは「ヴィクトリアン朝」と使われている場合です。
dzlfoxさんが指摘されたとおり。
ううう。スミマセン・・・!
書込みしたら、消えてしまいました・・・<コメント
なぜにどうして?
dzlfoxさん、実は「ヴィクトリアン朝」と書こうとしたんです。
誤りの一例として・・・。
すみません、「ヴィクトリアン調(=様式)」なら、用法としては
合っていますよね。混乱させる書き方で失礼しました。。。
これで、うまくいくと思います。
ご返信はもう少しお待ちください。
bikkinさん了解しました。
ついでに言うと、私、アジアン系とかアイリッシュ系とかも嫌いです(^^;)
それにつけてもbikkinさん、よく建築様式に通じてらっしゃいますね。
私は以前CADWのショップで買ってきたウェールズにおける建築様式に関するパンフを良く眺めてます。
もう少し色んな実例を見て確認していかないと、どうもイメージが沸かない部分もありますが。
エラー修正しているうちにコメントいただいたようなのですが、
修正作業中消えてしまいました。
幾たびもコメントいただく度にトラブルが出て申し訳ありません。
できますれば、もう一度ご投稿願えますでしょうか。
えーと書き込み、たしか大したことじゃなかったような気がします・・・。
2ユーロ、賭けてもいい。(なぜにユーロ?)
なのでお気になさらずに!
またお邪魔します(^^)
#ついでに・・・ブログのURI、微妙に間違えてはります(^^;
さて、取り上げといてなんなので、実はこの記事を書いた次の日ぐらいに4巻買ってました。
実はその前に『シャーリー』という森女史の『エマ』以前の作品集を買ってました。
というのも、最初『エマ』の巻数と単価にびびったからです。
いつからあのサイズであんなに高くなったのだろう。
ここ最近漫画といえば岡野女史の『陰陽師』ぐらいしかかってなかったからなぁ・・・。
というわですが、続きが気になってしまったので、5巻も買ってしまいました。
あかんなぁ・・・。