英国首相官邸に関するメモ 
サウスアイランド公爵が以前サー・ウィンストン・チャーチルのことを書かれていましたが、このときに首相官邸が出てきました。
さて、お手元の辞書か、オンラインの辞書を見いてみましょう。英語で英国の首相官邸/公邸(Official Residence of Prime Minister)はなんと言うでしょう。
ためしにalcの英辞郎on the Webで「首相官邸」と検索をかけると、ずらーっと出てくるので、抽出します:
- 首相官邸;《英》
【地名】Number 10 Downing Street
ということで、英国の首相官邸のことは「ダウニング・ストリート10番地」といいます。要するにこれはこの建物がダウニング・ストリート10番地にあるからです。日本の政界のことを永田町というように、英国の政界(議会自体を)をウェストミンスターといいますが、それと同様に首相の同行などを言うときもDownning Streetがどうたらこうたらとか言うことがあります。
ということでした……。
で、終わりたいところですが、これで終われないところが、称号にこだわるブログ所以です。
じつは、No. 10 Downing StreetはPrime MinisterのOfficial Residenceではありません。
といっても、英国政府の10 Downning Street Websiteも「ここはPrime Ministerの官邸だ」という紹介の仕方をしています。これは間違ってはいませんが、正確ではありません。
現代の英国の首相の正式な役職名は:
Prime Minister, First Lord of the Treasury and Minister for the Civil Service
といいます。最後の'Minister for Civil Service'は、まぁ、兼任しているようなものなのでどうでもいいのですが(本当はいいこと無いけど)、問題は'First Lord of the Treasury'です。
実は'No. 10 Downing Street'は'First Lord of the Treasury'の官邸なのです。'Prime Minister'自身の官邸は'Chequers'(バッキンガムシャー、エイルズベリーにある邸宅。現在は主に夏の公邸として使用される)とされています。
この邸宅(No 10)は
さて、サー・ロバートはしばしば最初の'Prime Minister'とされます。しかし、当時の法には'Prime Minister'という職は定められておらず、これは彼の内閣に対する影響力の強さからそのように見なされているだけで、実際の彼の職は'First Lord of the Treasury'だったのです。
では、'First Lord of the Treasury'とはなんでしょうか。
もともと中世イングランドでは国庫責任者として'Lord High Treasurer'がいました。これはしばしば大蔵卿と訳されます。彼は国王の金庫の責任者なのですが財務大臣をかねていました。特に16世紀には影響の大きさから国王の首席の大臣とみなされました。エリザベス一世の重臣であったSir William Cecil, 1st Lord Burghleyがその職にあったように非常に重要な役職でした。
17世紀になるとその強大なLord High Treasurerの権限は合議制へと移されました。この大蔵委員会と訳される評議会の列席者をLords Commissioners of the Treasuryといいます。この評議会の主席委員が'First Lord of the Treasury'で、ここではそれを首席大蔵卿とでも訳しましょう。
内閣制度の発展とともに'First Lord of the Treasury'よりも'Prime Minister'の比重が高まっていきます。
1827年以前のシステムでは、First Lord of the Treasuryが庶民であった場合、HM Treasuryの第二位であったChancellor of the Exchequer(元々は国王の歳入の管理と)を兼ねていました。したがって第三位であるChief Secretary of the Exchequerが評議会次席となっていました。First Lordがpeerであった場合、Second Lordである他の者がChancellorとなりました。
ところが、1978年に時のFirst Lord of the Treasuryであった
しかしながらこれ以後も絶えず'Prime Minister'と'First Lord of the Treasury'を同一人物が担当したわけではありませんでした。
この三回目任期の時に'First Lord of the Treasury'だったのがおいで後継者だったArthur Balfourでした。そのとき、ソールズベリー卿は自らの邸宅で生活し、バルフォーが'First Lord'としてNo 10 Downing Streetに住んでいました。
バルフォードが1902年7月12日に叔父の跡を継いでPrime Ministerとなると、彼はFirst Lordを兼務しました。これ以後すべてのPrime MinisterがFirst Lord of the Treasuryを兼務することが慣例化していきました。
1904年にバッキンガムから発表された席次リストに初めて'Prime Minister'が記され、ヨーク大主教の次に列せられました。
というような流れもあって、No 10は未だに'First Lord of the Treasury'の官邸とされています。ちなみに隣のNo 11には財務大臣である'Chancellor of the Exchequer'がはいっていますが、これもNo 11が'Second Lord of the Treasury'の官邸とされていることによります。ただし、現在はブレア首相に子供ができて手狭になったために隣のNo.11と入れ替えて使っています。
ちょっと文がぐちゃぐちゃで読みにくいかもしれません。
| 初版公開日 | 2005-09-08T00:35:00+09:00 |
| 最終更新日 | 2009-12-05T14:15:19+09:00 |
Tag: 英諸島事情 英国称号 名所案内 称号考察 英諸島名所案内 英語
コメントポスト(オープンはオープンに、クローズドはクローズドに書き込まれます)
コメント一覧