DukeとLordについてのメモ anchor.png

英国のPrince Henry of Walesがいつものごとくポカをやって大顰蹙を買っていることはあちこちで報道されています。この件に関する『旬のイギリス』さんの記事で、このような記述があります。

ハリー王子は、兄に比べると、明らかに「ワイルド」ですね。 っていうか、祖父のエジンバラ卿みたいに口を開けば、必ず一言多くていつも顰蹙をかうようになるのでしょうか。

おそらくlisalisa9さんは何気なく書いておられるのでしょうから、それについて重箱をつつくつもりは全くないのですけども、せっかくなので、この機会に「エディンバラ卿」という表現について考えてみることにします。

一般的にいって、卿と訳されうる語は'Lord'もしくは'Sir'でしょう。'Sir'はまぁおいておいて、この'Lord'が適用されるのはどのくらいなのでしょうか。実は'Lord'は儀礼称号も含めて、Marequess/Earl/Viscount/Baronのみにしか使われません。つまり、DukeをLordとは呼べません。

これだけだとわかりにくいので例を挙げます。

  • The Marquess of Salisbury
  • The Earl of Shrewsbury
  • Viscount Hereford
  • Baron Stafford

これらの貴族は言及されるときおよび話しかけられるとき、それぞれ:

  • (The) Lord Salisbury / My Lord
  • (The) Lord Shrewsbury / My Lord
  • (The) Lord Hereford / My Lord
  • (The) Lord Stafford / My Lord

というようになります。しかし、Dukeは別格なので、

  • His Grace (←格下の相手から)、The Duke (←同格の相手から) / Your Grace (←格下の相手から)、Duke (←同格の相手から)

というような事になります。手紙の書き出しに、'My Lord Duke,'と書かれる場合がありますが、この場合の'Lord'はむしろ'Duke'にかかっているので、いわば特殊な話です。これをのぞけば、Dukeが'Lord'と呼ばれることはありませんし、むしろそう呼ぶことは無礼になってしまいます。

もっとも、Duke of Edinburghは'HRH The Prince of the United Kingdom'でもあるので、呼称するときはそっちの方が優先され:

  • His Royal Highness / Your Royal Highness、Sir (←二度目以降)

というようになります。しかし、これは会話においての話で、文書に於いて言及されるときは必ずフォーマルである爵位を用います。文書に於いても呼びかけるときは前記の後者の例と基本的に変わりません。

  • (HRH) The Duke of Edinburgh

したがって、The Duke of Edinburghの場合、Lord Edinburghではなく、絶えずThe Duke of Edinburghなので、「エディンバラ卿」という表現を使うなら「エディンバラ公(爵)」と書くべきである、という結論になります。もちろん英語的な省略法として、'The Duke'と書かれることはありますが、それはまた別の話です。

貴族の呼称についてはもっとややこしいので後にじっくり扱うつもりですが、たまたまいい機会だったので、ざっと触れました。いろいろ説明を端折っているので、疑問に思われる向きもあるかもしれませんが。

初版公開日2005-01-16T13:54:00+09:00
最終更新日2009-12-05T14:15:21+09:00

Tag: 称号ツッコミ 英国王室 英国貴族


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1: 公爵 (1973/07/04 07:08)
やっぱり公爵は別格ですね。
余もHNに恥じないように努力せねば・・・。
2: りさ (2005/01/16 15:36)
ありがとうございます
ああ、確かに言われたら公爵ですね。
ご指摘ありがとうございました。
こっそり直しておきます(笑

会話と文章で優先されるものが違ったりとこの問題は奥が深いですね。
3: dzlfox (2005/01/23 00:02)
公爵殿下へ、殿下は第一位という栄誉をすでに得られているので、その称号に恥じない活躍をなされているではありませんか(笑)
4: dzlfox (2005/01/23 00:05)
りささんへ。コメントならびにそちらのブログでご紹介までしていただいてありがとうございます。
まぁ、これらはふつうの人はあまり興味のない主題かもしれませんが、「英国的」ではあるので…。

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