[称号・名/称号]

スコットランドのMaster補足 / 2006-05-17 (水)

前回の記事ではpeer/儀礼peerを問わず「ViscountおよびLord of Parliamentの継嗣であるMaster」について扱いました。

今回はDuke, Marquess, Earl/Countess in her own rightの継嗣が帯びるMasterについて書き、補足とします。

Duke/Marquess/Earl/Countess in her own rightとViscount/Lordとの継嗣の違いとは何でしょう?

前者は大抵爵位の形をした儀礼称号を帯びますが、後者の帯びる称号は儀礼称号とはいえThe Honourableという接頭形です。

Duke/Marquess/Earl/Countessの継嗣でも儀礼称号がない場合はMasterである、と前回書きました。では儀礼称号は持っていればどうなるか? 当然、彼は儀礼称号で称されるわけですが、スコットランド貴族の場合、少し異なる点があります。

それは、スコットランド貴族の継嗣はどの位であれデフォルトでMasterなので、儀礼称号を称していても、実はMasterである、ということです。

つまり、Duke等の継嗣の場合、社会的には儀礼称号で呼ばれているけども、法的にはMasterである、ということです。英国で儀礼称号とはあくまで社会的に儀礼として称されているだけで、法的な称号ではないことには注意が必要です。

一方で、Viscount/Lordの継嗣の場合、そもそもがMasterで称されていますから、社会的にも法的にも彼はMasterです。

これがどこに現れてくるかというと、法定文書«legal documents»等です。パスポートも多少形式は違いますがおおむねこの通りです。

  • (UK)Marquess of Angleseyの継嗣: Charles Alexander Vaughan Paget, commonly called Earl of Uxbridge
  • (S)Marquess of Lothianの継嗣: Michael, Master of Lothian, commonly called Earl of Lothian
  • (UK)Baron Fairhavenの継嗣: James Henry Ailwyn Broughton, commonly called Hon. James Henry Ailwyn Broughton
  • (S)Lord Elibankの継嗣: Robert Francis, Master of Elibank

英国法では、称号というものは名字のかわりになるものなので、自分で称号を有している人は名字のかわりに称号を表記します。儀礼称号の場合、あくまで社会的に称しているだけなので、名字を表記しなければなりません。しかし、Masterは儀礼称号ではなく、本人が有している称号なので、名字は表記しません。

See Debrett's Corret Form, 12-3,62-5.

1: もつ (2006/05/17 00:32)
前回の話と今回の話で少しばかり混乱してしまったので質問させてください。

今回の文中に、

> それは、スコットランド貴族の継嗣はどの位であれデフォルトでMasterなので、儀礼称号を称していても、実はMasterである、ということです。

とあります。
前回の文中には、

> 'Earl of A'の継嗣で'Lord B'の儀礼称号を持つ人物の継嗣もMasterとなり、そのとき'Master of B'となります。

とあります。

'Master of B'を中心に考えると、

祖父→'Earl of A' - 父→'Lord B' - 自分→'Master of B'

ということになるかと思います。
この場合、父は儀礼称号'Lord B'で称されますが、正式な身分としては'Master of A'であり、自分は正式な身分として'Master of B'であるということでしょうか?
2: dzlfox (2006/05/17 09:20)
もつ様、おはようございます。

父の場合仰るとおりです。
彼の場合(名をFN、姓をSNとすると):
FN, Master of A, commonly called Lord B
となります。

自分ですが、先の記事にも昨日付け足したのですが、儀礼称号の継嗣としてのMasterの場合儀礼称号として扱われる、というように取れる一文がDebrett's Correct Formにあり、もしそうだとすると:
FN, Master of B
ではなく:
FN SN, commonly called Master of B
となりますが、この辺要継続調査、とさせていただきます。
3: もつ (2006/05/17 19:05)
他の記事の分もあわせてご回答ありがとうございます。
色々と面白いし難しいですね。
ところで、このMaster、いい訳みたいなものはあるんでしょうか?
継嗣の称号として触れている辞書で「若殿」なんてのがありましたが、
さすがにちょっと(^_^;
あと現在、トップページを表示させると、05/12付けの記事より前の
記事が、05/12の記事の中に埋め込まれるような表示になってしまっ
ています(タグ閉じ忘れが原因??)。
4: dzlfox (2006/05/17 21:31)
個人的には「惣領」という語を使いたいです。
氏族的な感じがしますし。
(まぁ、日本の惣領制は氏族ではないですが。)

#レイアウト崩れのご指摘ありがとうございます。
divタグが閉じられていませんでした。
firefoxでは自動補正が効いていて気づきませんでした。
[ このエントリへはコメント出来ません ]