すでに2年前の話ですが、2004年1月からフランスで姓氏制度の改正が行われ、「姓」のシステムが若干変更され、nom de famille(英語で言うfamily name)が導入されました。日本語では、家名なり家族名なりの訳語となるでしょうが、苗字でもいいかもしれません。
ここで、'nom de famille'などという語・制度は前からあったのでは、と思われる向きもあるかもしれません。確かに、一般的にはpatronyme(「父系名」所謂「姓」ですね)を'nom de famille'といっていましたが、これは法定用語ではありませんでした。そこで、今回改めて新制度のためにこの名称が正式に用いられたことになります。混乱を避けるために違う名称を選択したほうが良いようにも思うのですけども…。
さて、変更になった内容ですが、両親が子供の苗字を決める際に父親の苗字と母親の苗字のほかにその両者を組み合わせたものを使えることができるようになりました。その場合、-- ハイフォン二つでつなげます。
この制度に伴い、従前のpartonymeにかえて'nom de famille'という概念が作られました。つまり、両親は、その間に出来た子供らの苗字を一度だけ選択する事が出来ます。ここで重要なのは、子供ごとにつけられるのではなく、その両親の子供全員の'nom de famille'を一度につけるということです。
選択できる'nom de famille'は先述の通り、父親の苗字、母親の苗字、両方のダブル・ハイフンによる組み合わせ、です。ダブル・ハイフォンによる組み合わせ(以下面倒なので、勝手にダブル・ハイフンドと呼ぶ)、は父母どちらの苗字が先になってもかまいません。
また、ダブル・ハイフンドにするのは、二つの姓のみです。所謂多重姓のように三つ四つ繋げることは出来ません。したがって、両親がすでにダブル・ハイフンを有していた場合、それぞれ分割した状態で、父--母を組み合わせます。当然、両親のどちらかの名前も引き継げます。
つまり、両親がそれぞれ、Bernard--ComasおよびPetit--Rousseau という'nom de famille'だったとすると、その子供らの'nom de famille'は以下のうちのどれかになります。
- Bernard
- Comas
- Petit
- Rousseau
- Bernard--Comas
- Bernard--Petit
- Bernard--Rousseau
- Comas--Petit
- Comas--Rousseau
- Petit--Bernard
- Petit--Comas
- Petit--Rousseau
- Rousseau--Bernard
- Rousseau--Comas
ただし気をつけなければいけないのは、フランスにはすでに'-'(シングル・ハイフン)や'de'などを用いた多重姓があるということです。これらの扱いはどうなるのかというと、これはダブル・ハイフンドのものとは別個に扱われます。つまり両親がこれらの多重姓を持っている場合の子供ダブル・ハイフンドの組み合わせは、そもそも多重姓自体が二つのばらばらの苗字としてではなく、くっついている一つの苗字として扱われます。あー、説明下手で申し訳ないですが。
したがって、Velde氏のポストの例をとれば、Durand de Lafargeという多重姓を持つ父とMartin-Duchampという多重姓の母の子供の'nom de famille'の組み合わせ例は:
- Durand de Lafarge--Martin-Duchamp
- Martin-Duchamp--Durand de Lafarge
であり、Durand--DuchampやMartin-Lafargeといったような組み合わせにはなりません。
つまり、逆に言えば、このダブル・ハイフンドの表記は従前の多重姓と区別するためにそうなっているともいえます。見やすいかどうかは別にして。
移行措置として、2004年1月時点で13歳以下の子を持つ親で、その子が親の一方の苗字しか有していない場合は、もう一方のほうをダブル・ハイフンで加える事ができるようです。