今年の中秋は9月18日です。お月見の日であるこの日には、私の実家のある地区にはある風習があります。それは「だんごぬすみ」と呼ばれます。
夕方頃になりますと、各家庭ではお団子(最近はお菓子で代用)を玄関先に出しておきます。するとその地区の子供たちが勝手にやってきてとっていくのです。もちろん、家のものはわかって出している事なので「ああ、皆きとるなぁ」位に思っています。
うちの町ではこの風習は私が記憶している限り、私の地区と東南側に接する隣の地区でしか行われていません。その地区では「だんごぬすみ」ではなく、「だんごたばり」とよんでいるようです(「たばる」は「貰う」の謙譲語)。北側の地区(もともとうちの地区と一つだったものを昔に二つに割った地区)では確か行われていなかったような記憶があります。ただしこれは私の小学校時代の記憶なので、記憶が誤っているか、最近の人の流動によって変わってきている可能性もあります。
私が小さい頃は、子供なりに厳密なルールがあって、「私の地区のものは隣の地区へ取りに行かない、その逆も然り」とされていました。当時は子供の数が多かったので、盛況でしたが最近は数の減少もあり以前ほど盛んではないようです。しかし、双方の地区とも細々ながら続いています。
さて、この風習を行っている両地区が稲植神社という神社を共通の氏神としている事から、この神社に関係があるのかなと思っていました。しかし、fm osakaで今週初めに「大阪(おそらくその一部といっていたと思う)にはお月見のときに団子やお菓子を玄関先から取ってくるという慣習がある」といっていました。また、詩吟関係のサイトの中で、奈良・生駒の話題を扱っておられるページがあったのですが、そこの「月見どろぼう」というページに同様の風習が紹介されていました。
という広域にわたる分布を稲植神社と絡めて考えた場合:
ということが真っ先に浮かびます。というのも稲植神社の祭神が素盞嗚尊で、素盞嗚尊は本地垂迹説では牛頭天王だからで、また三宝荒神社が併設されていて結構お祭などでも重要な位置を占めているからです。というか確か正式には稲植三宝大荒神社という名称だった気も。
といっても、例えば同じ牛頭天王信仰のある木津町の天王神社では、稲植神社とおなじく「祇園さん」というお祭は開かれているものの、その氏子の地域では「だんごぬすみ」に相当する風習があるとは今のところは聞いておりません。という訳で、祇園信仰は関連するファクターとしてはあるかもしれませんが、それがキートリガーではないようです。
十五夜に団子を備えるのがそもそも収穫に対する感謝などの意味があることを考えると、三宝荒神の説も十分あり得るかもしれません。「だんこだばり」という語から、「供えたものを頂く」という意味合いがあることも推察可能です。
しかしそれならば、三宝荒神信仰にこだわらなくとも、月に供えたものを撤饌としていただく、という意味合いがあるのかもしれません。
以上の推察は憶測程度にしかすぎません。本来はどの辺りにその風習が伝わっているかを調べ上げて、共通点を探り出せれば面白いのですが。