[欧州地誌]

サヴォイア公爵殿下逮捕 - イタリア王家メモ / 2006-06-18 (日)

イタリア最後の国王ウンベルト二世の継嗣で、イタリア王家の当主サヴォイア公爵ヴィットリオ・エマニュエーレ王子殿下«HRH Prince Vittorio Emanuele, Duke of Savoy»がイタリア南部のポテンツァの検察当局に逮捕されました。容疑はマフィアと連絡を取ったことと、カジノの客のために売春斡旋を依頼したことだそうです。

日本語のニュースはYahoo!Newsで読売等の記事が読めます。英語記事ですとThe Ageの記事やa.t.r.にポストされていたIndependent News and Mediaのローマ特派員Peter Popham氏の署名記事があります。写真はイタリアのLa Stampaの記事にあります。

まぁ、容疑の内容の詳細はおいとくとしまして、ひとつだけPopham氏の記事で気になったところをあげます。

この調査を担当したのは、英国人とナポリ人のハーフのHenry John Woodcock検事39歳だそうですが、どうもこの人政治家や有名人を中心に組織犯罪への関与をいろいろ追求している人らしいです。まぁ、良い意味か悪い意味かはわかりませんが。

さて、このサヴォイア公爵ですが、日本語本文にあるようにVittorio Emanuele di Savoiaと呼ばれています。もちろんこれは現在のイタリア共和国の法律の関係ですが、イタリア王国(サヴォイア王家)の称号は当然イタリア王国・サヴォイア王家の法によるものですので、当然その称号は有効です。

この方の称号は:

  • HRH Vittorio Emanuele Alberto Carlo Teodoro Umberto Bonifacio Amedeo Damiano Bernardino Gennaro Maria Prince Royal of Italy, Prince of Savoy, Prince of Naples, Duke of Savoy

です。はっきり言って名前の方が長いです(笑)

もちろん王位継承者としてはHM Vittorio Emanuele IV, Titular King of Italyです。 まず、Prince of Naplesはイタリア統一以降イタリア王家の継嗣として用いられていた称号です。元々サヴォイア家の継嗣の称号はPrince of Piedmontだったそうですが、統一以降はNaplesとPiedmontは交互に(?)用いられていました。

Duke of Savoyという称号は、王制廃止後も国王及び王家当主であったウンベルト二世の崩御の翌年に称された称号で、おそらく王家当主としてこの称号を用いられているのでしょう。もちろんThe Duke of Savoyとは同家の由緒正しい称号です。実際王国となった後も代々の国王はこの称号を有しています。

したがって、ものによってはHRH The Duke of SavoyよりもHRH The Prince of Naplesと書かれている場合がありますが、間違いではありませんし、特に無礼でもないと思います。

何故この様なややこしいことをしているのか推測ですが:

ヴィットリオ・エマニュエーレ王子自体はあくまでPrince of Naplesが王国時代の最終的な称号であり、実際に即位はしていない。しかし、当主としてその継嗣には「継嗣」の称号がいる。継嗣の称号としてはPrince of Piedmontが順番的にもあいているのでそれで解決するが、そうすると継嗣の称号が並立してややこしい。なので、国王の有していた称号の一つでもっとも由緒あるDuke of Savoyを称されたのではないだろうか、と思います。

また、上記に見られるように、イタリア王家の王族はイタリア王子/王女«Prince/ss Royal of Italy»且つサヴォイア公子/公女«Princess of Savoy»であるということです。

これは1890年1月1日の家法によるものです。同家法では、国王の子は HRH Prince/ss Royal of Italy, Prince/ss of Savoy、国王の甥及びその男系子孫はHSH Prince/ss of Savoyと定められていたそうです。しかし、制定したウンベルト一世が子供一人で暗殺されたりした結果あまりこの規定は関係ないまま時が過ぎ、王制廃止直前の1946年5月12日の家法改正によりすべての王族がHRHとなりました。

系図によっては'Prince Royal of Savoy'としているところもあるかもしれませんが、これはたぶん'Prince Royal of Italy, Prince of Savoy'の略です。

さて、上記Popham氏の記事中にサヴォイア公爵殿下の継嗣Emanuele Filiberto di Savoia氏が検察当局の逮捕の模様を70歳の老人に対する扱いではない、と憤っておられます。この24歳の青年はもちろんサヴォイア王家の継嗣ですから称号を有しており:

  • HRH Emanuele Filiberto Umberto Reza Ciro René Maria Prince Royal of Italy, Prince of Savoy, Prince of Piedmont

となっています。もともとこの王子はウンベルト二世の存命中(もちろん王制廃止以降)に生まれており、その時は国王の継嗣の継嗣としてPrince of Veniceに封ぜられていました。父が当主になるに従い、Prince of Piedmontに封ぜられました。

以上、せっかくなので、目についたところをメモしておきます。

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